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笹川 剛; 向井 雅之; 澤口 拓磨
JAEA-Data/Code 2021-012, 122 Pages, 2022/01
高レベル放射性廃棄物や炉内等廃棄物などの放射性廃棄物を処分する際には、人工バリアと天然バリアから構成される多重バリアシステムにより、公衆への被ばくを低減することが求められる。これらのバリアのうち、人工バリアは、放射性核種の閉じ込め機能を発揮することが期待されている。人工バリアに使用されることが想定される材料は、時間とともに変質し、その性能も変化する。変化する性能を的確に評価するためには、人工バリアの長期的な状態変化を解析的に推定することが重要である。人工バリアの状態は、その内部で生じる物質移行と地球化学反応とにより変化するが、これらは相互に関連し合う現象であるため、連成して解析することが必要である。そこで、人工バリアの長期的な状態変化、特に、ベントナイト系緩衝材の人工バリア性能として重要な透水性を主な対象として解析するコードとしてMC-BUFFERを開発してきた。本報告書は、人工バリアに期待される機能、その性能に影響するパラメータ、MC-BUFFERに実装したモデル、MC-BUFFERの構成と機能、入力ファイルの使用と出力例、MC-BUFFERの実行方法およびサンプルランなどについてまとめたものである。
Walker, C.*
NIMS微細構造解析プラットフォーム利用報告書(Internet), 2 Pages, 2021/09
日本の放射性廃棄物地層処分では、低アルカリ性セメントであるフライアッシュ高含有量シリカフュームセメント(HFSC)の使用が検討されている。日本原子力研究開発機構では、HFSCの主成分であるカルシウムアルミニウムシリケート水和物(C-A-S-H)ゲルを合成し、その長期安定性について実験とモデル化を行っている。モデル化にあたっては、この合成サンプル中に含まれるC-A-S-Hゲル及び副鉱物の組成を決定する必要がある。本課題では、合成サンプル中のAl及びSiのNMRスペクトルを取得し、Al及びSiの存在形態を定量した。
小林 恵太; 中村 博樹; 山口 瑛子; 板倉 充洋; 町田 昌彦; 奥村 雅彦
Computational Materials Science, 188, p.110173_1 - 110173_14, 2021/02
被引用回数:14 パーセンタイル:73.11(Materials Science, Multidisciplinary)セメント水和物(セメントペースト)は建築材はもとより、放射性セシウムの閉じ込め材料として利用される。本論文はセメント水和物の代表的なモデル物質であるトバモライトの機械学習力場の構築を行ったものである。トバモライトに対し第一原理計算を実施し、様々な原子配置とそのポテンシャルデータを大量に生成し、ニューラルネットを用いた機械学習力場の学習を行った。構築した機械学習力場はトバモライトの弾性係数,振動状態密度をほぼ第一原理と同等の精度で計算可能であることを確かめた。また、機械学習分子動力学法を実行し、トバモライト細孔における水,イオンの輸送特性の解析を行った。
澤口 拓磨
「有害廃棄物・放射性廃棄物処分へのセメント・コンクリート技術の適用研究委員会」報告書(CD-ROM), p.165 - 173, 2020/12
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、セメント系材料との接触によってベントナイト系緩衝材の性能(低透水性)が劣化することが懸念されている。本報告では、当該性能評価に資するために規制機関の委託事業として実施した「セメント系材料の変質特性に係るモデルの整備および適用性確認」及び「ベントナイト系緩衝材のアルカリ変質に伴う物質移行特性に係るモデルの整備」に係る研究概要について、年表とともに紹介した。
Guo, B.*; Xiong, Y.*; Chen, W.*; Saslow, S. A.*; 香西 直文; 大貫 敏彦*; Dabo, I.*; 笹木 恵子*
Journal of Hazardous Materials, 389, p.121880_1 - 121880_11, 2020/05
被引用回数:43 パーセンタイル:90.61(Engineering, Environmental)To elucidate retention mechanism of cement waste form for radioactive iodine, this paper investigated interaction mechanism between iodine and ettringite, which is a component mineral of cement and has anion exchange ability. We revealed that ettringite has a high capacity for accommodating IO via anion substitution for SO. The combined iodine K-edge extended X-ray absorption fine structure spectra and first-principles calculations using density functional theory suggested that IO was stabilized in ettringite by hydrogen bonding and electrostatic forces. The bonding charge density analysis of the substituted IO into the ettringite structure revealed the interaction between intercalated IO with the structural water molecules. These results provided valuable insight into the long-term stabilization of anionic iodine species and their migration in cementitious nuclear waste repository or alkaline environments.
三原 守弘; 原澤 修一*; 鳥居 和之*
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 26(1), p.15 - 23, 2019/06
鉱物質混和材(フライアッシュ:FA, 高炉スラグ微粉末:BFS, シリカフューム:SF)を用いた水セメント比50%および30%の材齢28日のセメントペースト硬化体を作製し、CsおよびIの見掛けの拡散係数(D)を、電子線プローブマイクロアナライザーを用いた方法により算定した。Csについては、水セメント比50%ではBFS、水セメント比30%ではSFの使用がDの低減に大きく寄与した。IのDの低減には、水セメント比50%ではBFS、水セメント比30%についてはその大きな変化は確認できなかった。SFを用いることによりCsの収着性の向上が見られ、BFSを用いることによりIの収着性が向上する傾向が確認された。これらのセメントペースト硬化体の間隙構造は、微細な間隙によって連結したものであることも確認され、SFおよびBFSの使用がDの低減に寄与したものと考えられた。
岩月 輝希; 柴田 真仁*; 村上 裕晃; 渡辺 勇輔; 福田 健二
土木学会論文集,G(環境)(インターネット), 75(1), p.42 - 54, 2019/03
地下施設における吹付けコンクリート支保工が地下水水質に与える影響を明らかにするため、深度500mの花崗岩に掘削した坑道を閉鎖する実規模原位置試験を行った。閉鎖坑道内の水質観察、吹付けコンクリートの分析、それらに基づく水質再現解析の結果、Brucite, Ettringite, Ca(OH) , Gibbsite, KCO, NaCO・10HO, SiO (a), Calciteの溶解・沈殿反応が水質に影響する主要反応であることが明らかになった。更に、坑道内に施工された吹付けコンクリートはCa(OH)に飽和した地下水(pH12.4)を約570m生成する反応量を持つと見積もることができた。これにより坑道閉鎖後の長期的な化学影響の予測解析の確度が向上すると考えられた。
入澤 啓太; 工藤 勇*; 谷口 拓海; 並木 仁宏*; 大杉 武史; 中澤 修
QST-M-16; QST Takasaki Annual Report 2017, P. 63, 2019/03
廃棄物管理の観点から、放射性分解Hガスをできる限り抑制することは、長期保管及び処分時において火災や爆発のリスクを低減するためには、望ましい。そのため、加熱処理による水分率を最小化した代替セメント固化技術を開発している。本技術は、90C、非照射下において、実現可能であることが報告されている。実際の廃棄物は放射性であり、本技術の適用が放射性分解Hガスの抑制に効果的であるかどうかは、未だ不明である。そこで、本技術によって作製されたリン酸セメントから発生した放射性分解Hガスを直接、分析した。その結果、本技術の適用により、放射性分解Hガスが低減でき、そのリスク低減につながることがわかった。
松島 怜達; 佐藤 史紀; 齋藤 恭央; 新 大軌*
Proceedings of 3rd International Symposium on Cement-based Materials for Nuclear Wastes (NUWCEM 2018) (USB Flash Drive), 4 Pages, 2018/10
東海再処理施設では、発生する低放射性の液体廃棄物及び固体廃棄物を処理する施設としてLWTFを建設し、コールド試験を実施している。本施設では、当初、液体廃棄物の処理に伴って発生する核種分離後の硝酸廃液に対し、ホウ酸塩を用いて固化体とすることとしていた。しかし、現在は、環境負荷低減のために廃液内の硝酸根を分解する必要があり、硝酸塩を炭酸塩に置換した後、セメント固化体とする計画として、設備導入に向けた検討を進めている。現在、この廃液に対するセメント固化技術開発として、高炉スラグ(BFS)を主成分としたセメント材の適用検討を行っている。本発表では実規模(200Lドラム缶スケール)で試験を行った結果についてまとめたものを報告する。
浜本 貴史*; 松原 竜太*; 澁谷 早苗*; 陶山 忠宏*; 舘 幸男
JAEA-Data/Code 2017-014, 31 Pages, 2018/03
現在、原子力発電環境整備機構(NUMO)と原子力機構(JAEA)の双方で、地層処分の安全評価手法の開発を進めている。これら安全評価に資するため、国内外の最新の知見を踏まえたパラメータ設定手法の構築を、NUMOとJAEAで共同研究として実施している。本報では、この共同研究の一環として実施した、収着・拡散データベースの拡充のための国内外の最新の収着・拡散データの調査と信頼度評価の結果を報告する。今回の調査では、堆積岩とセメント系材料を中心に調査と信頼度評価を行い、収着データとしては、文献数19件、データ数1、746件、拡散データとしては、文献数25件、データ数593件分について、収着・拡散データベースの中で利用可能な形式でデータを整備した。
入澤 啓太; 工藤 勇*; 谷口 拓海; 並木 仁宏*; 大杉 武史; 中澤 修
QST-M-8; QST Takasaki Annual Report 2016, P. 63, 2018/03
福島第一原子力発電所から発生する汚染水処理二次廃棄物の安全な貯蔵のため、リン酸セメントによる最小含水化した固化技術を開発している。実際の二次廃棄物における本固化技術の適用性を把握するため、脱水中のリン酸セメントをCo 線によって照射した。リン酸セメントのG(H)は脱水中の時間と共に減少し、7日後に検出下限値となった。さらに、脱水中のCo 線照射がリン酸セメントの結晶及び非晶質相を変化させないことが分かった。
伊藤 義之; 松島 怜達; 佐藤 史紀
QST-M-8; QST Takasaki Annual Report 2016, P. 69, 2018/03
東海・再処理施設の低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)では、低レベル放射性廃液をセメント固化し廃棄体を作製することを計画している。本研究では、作製したセメント固化体からの水素発生量を検討するため、量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のコバルト60線照射施設にて、セメント試料の線照射試験を行い、水素生成G値を測定した。その結果、スラリ固化体(充てん率1050wt%)のG値は、約0.03(n/100eV)であり、スラリ廃液を充てんしていない場合に比べて、およそ半分に低下した。硝酸イオンは、水素生成を抑制する効果があり、スラリ中に含まれる硝酸塩の影響でG値は低下したと考えられる。また、炭酸塩固化体(充てん率10wt%)のG値は、約0.14(n/100eV)であったが、20wt%や30wt%の炭酸塩固化体では、それよりも低いG値であった。XRD結果から、塩の充てん率が高くなるほど、NaCOを含んだセメント生成物(Pirssonite)が多く見られ、NaCOのG値は、CaCOよりも小さいため、20wt%や30wt%の炭酸塩固化体のG値は小さくなったと考えられる。
佐藤 淳也; 菊地 博*; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 松島 怜達; 佐藤 史紀; 小島 順二; 中澤 修
QST-M-8; QST Takasaki Annual Report 2016, P. 62, 2018/03
福島第一原子力発電所における多核種除去設備から発生している廃吸着材は、多量の放射性核種を含有しており、処分のために発生した固化体への放射線影響が懸念されている。本件は、廃吸着材の模擬物をセメント固化した試料において放射線分解によって発生する水素ガス量の調査を目的として実施した。チタン酸塩, 酸化チタン, フェロシアン化物, キレート樹脂及び樹脂系吸着材を対象として、セメント固化材(普通ポルトランドセメント及び高炉スラグセメント)を用いて固化試料を作製した。量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のコバルト照射施設を利用して線の照射試験を行い、セメント固化試料からの水素ガス発生を調査した。試験の結果、セメント固化試料から発生した水素ガス量を求め、水素ガス発生のG値を算出することができた。
白瀬 光泰*; 安部 章正*; 名合 牧人*; 石井 英一; 青柳 和平; 若杉 伸一*
土木学会平成29年度全国大会第72回年次学術講演会講演概要集(DVD-ROM), p.1795 - 1796, 2017/09
日本原子力研究開発機構は、幌延深地層研究計画地下研究施設整備(第II期)等事業の一環として、平成23年2月から平成26年6月まで地下施設建設工事を実施し、平成30年度まで施設の維持管理および研究事業を遂行中である。現在、研究事業の取り組みの一つとして、安全評価手法の高度化を目的に、岩盤を対象とした原位置トレーサー試験を実施している。本稿では、原位置トレーサー試験の一つである、堆積軟岩における割れ目帯を対象とした物質移行試験において、極微粒子セメントを適用した深層ボーリングの施工事例を紹介する。
三原 守弘; 平野 史生; 高山 裕介; 京川 裕之*; 大野 進太郎*
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 24(1), p.15 - 25, 2017/06
TRU廃棄物地層処分施設の長期力学挙動を評価するための解析コードMACBECEを開発した。解析コードには、メント系材料のカルシウムの溶出やベントナイト系材料のカルシウム型化やスメクタイトの溶解などの化学的変遷に伴う力学特性変化および周辺岩盤との力学的な相互作用を考慮した。開発した解析コードを用いてクリープ変形が生じやすいと考えられる軟岩サイトを想定し、TRU廃棄物処分施設の建設段階から、処分施設閉鎖後10万年までの力学挙動解析を行った。緩衝材の力学挙動モデルとして、ECモデルを用いることで応力が降伏曲面の特異点付近に陥ることを解消でき、数値解析上、安定な解を得ることができた。さらに、周辺岩盤と処分施設の力学的相互作用を同時に解析することにより、周辺岩盤と処分施設の力学挙動を別々に解析した第2次TRUレポートの結果と比較して処分坑道の内径変位量が半分程度となることが示された。
瀬野 康弘*; 中山 雅; 杉田 裕; 棚井 憲治; 藤田 朝雄
JAEA-Data/Code 2016-011, 164 Pages, 2016/11
地下300m以深への地層処分が定められている高レベル放射性廃棄物(HLW)の処分場の坑道などの支保工にはコンクリートの使用が想定されている。一般に、OPCを用いたコンクリートの浸出水のpHは1213を呈する。一方、緩衝材に用いられているベントナイトはpH約11以上の高アルカリ環境で変質し膨潤性能が低下する恐れがあり、これらのバリア機能が阻害される可能性が指摘されている。したがって、HLW処分場の支保工に使用されるセメント系材料にはバリア機能は求められていないものの、他のバリア機能を阻害しないこと、すなわち、低アルカリ性が求められている。原子力機構では、セメント系材料の低アルカリ化を目指し、コンクリートの浸出水のpHを11程度以下にすることを目標とし、OPCにシリカフュームとフライアッシュを混合させた低アルカリ性セメント(HFSC)を開発した。HFSCのHLW処分場用支保工材料への適用性に関する研究は、幌延深地層研究センターの深度140m, 250mおよび350mの水平坑道において施工を行い適用の目途を得ている。本資料は、HFSCのこれまでに実施した種々の配合試験で得られたHFSCコンクリートのフレッシュ性状や硬化物性値等について整理した。
瀬野 康弘*; 野口 聡*; 中山 雅; 杉田 裕; 須藤 俊吉; 棚井 憲治; 藤田 朝雄; 佐藤 治夫*
JAEA-Technology 2016-011, 20 Pages, 2016/07
放射性廃棄物の地層処分では、地下施設の建設にセメント系材料の使用が想定されている。一般に、土木・建築分野で使用されている普通ポルトランドセメント(以下、OPC)を用いた場合、セメント起源の高アルカリ性間隙水(pH=12.5以上)が浸出し、周辺の緩衝材や岩盤の性能を低下させる可能性がある。そこで、セメント系材料に起因する浸出水のpHを低下させることを目的として、低アルカリ性セメントが開発されている。日本原子力研究開発機構では、低アルカリ性セメントの候補として、フライアッシュ高含有シリカフュームセメント(High-volume Fly ash Silica fume Cement、以下、HFSC)を開発した。これまでに幌延深地層研究センター地下研究施設の坑道で、HFSCを用いた吹付けコンクリートの原位置施工試験を通じ、吹付けコンクリートとしての施工性を確認してきた。本報告は、実際の地下施設の施工において適用可能と考えられる配合で作製されたHFSCセメントペースト硬化体について、その長期的なpH挙動を把握することを主な目的として実施している浸漬試験について、これまでに得られた結果をまとめたものである。
中山 卓也; 川戸 喜実; 大杉 武史; 嶋崎 竹二郎; 花田 圭司; 鈴木 眞司; 榊原 哲朗; 中澤 修; 目黒 義弘
JAEA-Technology 2014-046, 56 Pages, 2015/03
日本原子力研究開発機構では、保有する原子力施設等の研究開発活動で発生した放射性の可燃性及び難燃性廃棄物を、減容のため焼却処理をしている。焼却処理により発生した焼却灰はセメント固化して処分する計画としている。焼却灰は各拠点で発生するが、焼却炉型や廃棄物により特徴が異なるため、セメントの固化条件を設定するための基礎試験を拠点毎に行い、データを取得する必要がある。また、セメント固化試験においては、共通に評価すべき項目があるため、統一した手順で試験を進めていくことが重要である。本手引書は、セメント固化処理設備の設計に向けた基礎的なデータ取得を計画する際に、試験方法や条件設定の参考として利用するために作成した。焼却灰のセメント固化試験において評価すべき項目として、法規制において廃棄体に求められる要件について整理し、一軸圧縮強度や流動性などの技術的な7つの評価項目を抽出した。試験を計画する際に必要となる焼却灰, セメント, 水, 混和材料の選定方法の項目、試験固化体の作製手順の項目及び膨張、一軸圧縮強度、溶出量等の評価の方法の項目については、これまでの知見から注意すべき点を記載した。同時に、固化条件の最適化に向けた試験フロー及び調整の指針についてまとめた。最後に、各拠点でセメント固化試験に着手する際の助けとなるよう、目標とする固化条件を満足する固化可能な範囲の目安及び固化技術開発の課題について取りまとめたものである。
大谷 洋史; 水井 宏之; 東浦 則和; 坂東 文夫*; 遠藤 伸之*; 山岸 隆一郎*; 久米 恭*
平成25年度公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター研究年報,16, P. 66, 2014/10
若狭湾エネルギー研究センターは、「ふげん」の受託研究として、イオン交換樹脂を減容安定化処理した後の残渣を用いたセメント混練固化に関する手法の調査及び試験を行い、以下の結果を得た。(1)粉砕による脱気処理を低減容処理灰化樹脂に施した上でセメント混練を行い、膨張の発生が無いことを確認するとともに、セメント混練固化体について各種試験を行い、均質・均一なセメント固化体が得られること及び強度条件も満足することを確認した。(2)脱気処理した低減容処理灰化樹脂を用いたセメント混練物に、化学混和剤(減水剤)を添加することで、流動性が25%以上増すことを確認した。(3)化学混和剤を添加したセメント混練固化体について各種試験を行い、均質・均一なセメント固化体が得られ、強度条件も満足することを確認した。(4)低減容処理灰化樹脂及びセメント混練固化体からの溶出試験を行い、各々、脱気処理及び化学混和剤添加による影響はないこと、セメント混練固化することによって溶出が抑制されることを確認した。以上の結果から、低減容処理灰化樹脂に対して粉砕による脱気処理及び化学混和剤の適用したセメント混練固化体は、廃棄体の技術要件を満たす見通しが得られた。
前田 敏克; 馬場 恒孝*; 水野 大*; 寺門 正吾; 喜多川 勇; 沼田 正美
廃棄物学会論文誌, 17(4), p.271 - 281, 2006/07
シリコン,カルシウム及びアルミニウムを主成分とするスラグ試料を用いて、セメント平衡水中における静的浸出試験を90Cで行い、スラグの溶解挙動を調べた。セメント平衡水中では溶液のアルカリ性のため、脱イオン水中に比べてスラグの溶解量が増大することがわかった。また、スラグ表面には溶解に伴いケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)を成分とする二次相の生成が認められ、C-S-Hが生成する期間中は同じpHのアルカリ溶液中に比べてスラグの溶解が抑制される効果がみられた。